民事裁判のIT化のための改正民訴法の一部施行-ウェブ会議での口頭弁論への参加が可能に
2024年3月1日、民事裁判手続のIT化等を目的として2022年5月に成立した改正民事訴訟法の一部が施行され、民事訴訟の口頭弁論にウェブ会議を利用して参加することが可能となります。
民事訴訟において裁判所で行われる手続には様々な種類があり、そのうち、争点や証拠の整理のために裁判所が当事者(当該事件の原告及び被告)と打合せ等をする手続(「弁論準備手続」等)や和解のための協議をする手続(「和解期日」)については、現在もウェブ会議(映像及び音声付きの方法)や電話会議を利用して参加することができます。
これに対し、公開の法廷で行われる「口頭弁論」に参加するためには、これまでは、裁判所に実際に出頭する必要がありました。今回の改正により、今後は、民事訴訟の当事者について、裁判所に実際に出頭しなくても、ウェブ会議を利用して「口頭弁論」に参加することができるようになります。
これにより、遠方の当事者や代理人であっても、口頭弁論へのウェブ会議を利用したオンライン参加ができるようになるため、移動の時間・費用が大幅に削減されるなど、民事訴訟の利便性向上に寄与することが期待されています。
また、今後も、2026年5月までの間に、①証人尋問や当事者尋問をウェブ会議によって実施するための要件を緩和するための改正や、②訴状その他の書面のオンライン提出を可能とするための改正など、民事裁判手続のIT化に向けた改正民事訴訟法のその他の規定が段階的に施行されることとなっています。このように、民事裁判手続は今後大きく変わっていくことが予定されており、今後も注視が必要です。
なお、本記事では、紙幅の関係上、改正の概要のみを説明するに留めております。その他の詳細等につきましてご質問やご相談等ございましたら、個別にお問い合わせいただければと思います。
法律事務所かがやき
弁護士 吉田 勇輝