2023年4月以降に適用される法定利率の決定
1. はじめに
2023年3月1日、法務省は、同年4月1日以降に適用される法定利率につき、現在と同率の年3%となることを発表いたしました。今回は、その内容について説明したいと思います。
2. 法定利率について
法定利率は、契約の当事者間において、貸金等の利率や遅延損害金に関する合意がない場合に適用される利率のことをいい、民法に規定されています。例えば、交通事故などを原因とする不法行為に基づく損害賠償における遅延損害金は法定利率によります。
2020年4月1日に改正民法が施行される前は、法定利率は年5%の固定制でした。これに対しては、超低金利の状態が長期にわたり続いている現状に照らすと、法定利率が実態を反映しておらず、当事者間の不公平を生じているとの指摘がなされていました。したがって、改正民法では、法定利率を年5%から年3%に引き下げました。また、将来的に法定利率が市中金利の動向と大きく離れたものになることを避けるため、市中金利の動向に合わせて法定利率を3年ごとに見直す変動制も導入されました。
今年の4月で改正民法の施行から3年が経過するため、今回が法定利率の最初の見直しのタイミングとなります。そして、基準期間における市場金利の平均値の計算の結果、その変動幅につき民法が定める基準未満であったことから、2023年4月1日から3年間の法定利率についても、現在と同率の年3%となることが決定しました。
以上につき、各期間における法定利率をまとめると、次のとおりとなります。
2020年3月31日まで:年5%
2020年4月1日から2023年3月31日まで:年3%
2023年4月1日から2026年3月31日まで:年3%
2026年4月1日以降:未確定(変動の可能性あり)
3. 終わりに
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法律事務所かがやき
弁護士 吉田 勇輝